BCPとBCMの違いは?具体的に解説します。

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この記事を読んでほしい人

  • 企業の危機管理・BCP・防災担当者(特に担当になったばかりの人)

BCPとBCMの違いは?

似たような使われ方をされることもあるBCPとBCM。

「いまいち違いがわからない!」と思っている人も多いですよね。

そんな人のために、BCPとBCMの違いについて説明していきます。

まずはBCPとBCMについて、それぞれの説明です。

BCPとは

BCPを一言で言うと、災害対応マニュアルのことです。

もう少し具体的に言うと、自然災害などが発生した時に、企業が早期に事業を復旧させるための方針・体制・手順を示した「計画書・マニュアル」のことです。

BCPとは、Business Continuity Planの略称です。

「ビジネス・コンンティニュイティ・プラン」と発音します。非常に発音しにくいですね。略称で「ビー・シー・ピー」と呼ばれます。

日本語では「事業継続計画」と言います。企業によってまちまちですが、10ページ程度のレジュメレベルから、100ページを超す冊子を作っている企業など、マニュアルとしてのボリューム感は様々です。

BCPの詳細は過去記事で解説しています。

BCMとは

BCMを一言で言うと、BCPを訓練・啓蒙する活動のことなんですね。

もう少し具体的に言うと、実際に災害が発生した場合にどのように行動をすべきかをもとに、社員を訓練したり、非常時に使用する設備などを実際に整備したりすることです。要するにBCPを陳腐化させないためのマネジメントがBCMです。

BCMとは、Business Continuity Managementの略称です。

「ビジネス・コンンティニュイティ・マネジメント」と発音します。発音しにくいですね。略称で「ビー・シー・エム」と呼ばれます。

日本語では事業継続管理、事業継続マネジメントといいます。

BCPとBCMの違い

BCPとBCMの違いを簡単にいうと、BCPは計画であり、BCMは活動全体のことを指します。

具体的に説明します。

BCPは不測の事態において、企業が事業を継続するための行動方針や対策が印刷された「マニュアル」です。

一方、BCMはBCPを実施して有効に機能させるための教育や更新を繰り返していく「仕組み」です。

BCPを策定しいても、災害時に実際に対応できなければ、BCPマニュアルなんて「ただの紙切れ」ですよね?

それを防止するのがBCMです。

BCMによってPDCA(計画→実行→チェック→改善)を続けていくことで、より細かく定めておくべきことや、策定していても実際には機能しない部分を見直し、より制度の高いものを作り上げていきます。

簡単にまとめるとBCPはBCMの中の一部ということですね。

日本では違いが曖昧なBCPとBCM

残念ながら、日本ではBCPとBCMの違いが曖昧に使われていることが多いです。

なぜなら、BCPという言葉だけが有名になりすぎて、「BCP=地震対策全般」という意味合いで使われていることが多いからです。

意味が混同しているのが原因で、曖昧な解釈をしている人が増えてしまいました。

もともとBCPとBCMは欧米発祥で、日本では2001年ごろから認識され始めた比較的新しい仕組みです。まだまだ日本ではBCP、BCMが浸透しきれていないのが現状だということです。

ただし、無理やり社内に「正確にはBCMなんです!」と強情に言いまわっても、あまり効果はありません。社内書類を全部書き換えるのはお金がかかりますし、上司からも「なんだコイツ、定義にばかりこだわりやがって」と、あなたの会社評価が下げられる恐れがあります。用語の定義は聞かれたときにしっかり答えられるレベルにしておきましょう。

BCPからBCMへ進化させるには?

BCPは単にマニュアルを作った状態。BCMはそれが年間サイクルとして訓練や書類の見直しにまで落とし込まれた状態です。

BCMの方がレベルが上だと言えますね。

どうなったら「BCMレベル」なのでしょうか?

定義はあいまいですが、毎年、防災訓練と連絡網の見直しができている状態になったらBCMと呼んでもいいのではないでしょうか。

他にもある類似用語

BCPとBCMの違いは分かりましたか?ただ、他にも似たような単語は沢山あります。もう少し勉強してみましょう。

・「防災訓練」とは?

防災訓練とBCP(BCM)訓練の違いもわかりづらいですよね。

多くの会社で、防災訓練とBCP訓練は「同じ意味」で使われています。

ただ、本来定義でいうと下記の違いがあります。

  • 防災訓練は拠点単位、安否確認がメイン
  • BCP訓練は全社単位、事業継続がメイン

・「BCMS」とは?

BCMSを一言で言うと、BCP・BCMを監視して改善を促す仕組みのことです。

もう少し具体的に言うと、BCP・BCMに関わる活動が、経営と確実に密接に結びついた形で実施され、なおかつ効果的・効率的に運用されるようにするための活動をさします。具体的には方針策定や内部監査、マネジメントレビューなどが該当します。

BCMSとは、Business Continuity Management Systemの略称です。

「ビジネス・コンンティニュイティ・マネジメント・システム」と発音します。発音しにくいですね。略称で「ビー・シー・エム・エス」と呼ばれます。

普通は経営企画・人事・総務がBCPを担当しますが、社長や内部監査なども巻き込んで、全社的な管理業務にしたのがBCMSなんですね。

まとめ – おすすめ書籍

BCPやBCMなど、ムツカシイことを考えることも重要ですが、BCPは本質を捉えてサクッとマニュアルを作り、みんなでしっかりと訓練をすることが重要です。

そのために、要点を絞った書籍を紹介します。

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「BCPとは」「BCMS管理手法」など、3,000円クラスの分厚い書籍も沢山ありますが、正直、買う必要がありません。この本だけ買っておけば大丈夫です。10分くらいで読めるので、上司や同僚にBCPを理解させることに使えます。

この本が一番使えるのは「引継ぎ」です。自分の後任や後輩に、BCP業務の引継ぎをする時に「これだけ読んどけよ!」と言って渡すのに一番使えます。他に引継ぎ資料を作る手間が省けます(笑)

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