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企業の防災担当者から、こういう質問を受けます。
- 「BCPを作成するのに何から手をつけていいかわからない」
- 「BCPを簡単に早く作る方法はないの?」
そんなBCPを作りたい人のためにBCPのテンプレート(ひな形)を5つをまとめました。
BCPの目的
まずはBCPの目的についておさらいしましょう。
BPCの目的は大きく3つです。
- 自分達の命を守ること(安否確認)
- ビジネスで勝ち残ること(事業継続)
- 社外にアピールすること(信頼向上)
事業停止のリスクとなる出来事、すなわち「地震」や「津波」などが発生した際に、いかに生き残るかが重要です。(安否確認)
また、その後すぐ、いかに事業を継続させるか、事業が停止してしまっている時間を短くするかがポイントです。そしてしっかりとビジネスに勝ち残るのです。(事業継続)
その結果、顧客からの信用、従業員の雇用、地域経済の活力を守ることができます。また、「BCPを作っている」と社外に言うだけでも会社の信用をアップさせることができます。(信頼向上)
これらの目的を果たすためにすべき重要なことが2つあります。
安否確認と事業継続です。
BCPで重要なこと2つ
(1)安否確認
まず、従業員が無事かどうか、出勤可能かどうかについて確認する必要があります。理由は事業が滞るのを防ぐためです。
当たり前ですが、商品やお金を動かすために必要なのは「人」です。
経営活動が停止、または機能が低下したときに起こり得る、他者への顧客流出や売上の低下、企業評価の低下を抑えるためにも迅速な安否確認をする必要があります。
(2)事業継続
BCPの最大タスクが事業継続です。
災害の後、実際に事業継続に失敗し、倒産や事業の縮小に追い込まれた例がたくさんあります。自社は大丈夫だったけど取引先が潰れたから連鎖的に倒産してしまうという「二次的被害」の事例もありました。
そういった被害を最小限にするため、何があっても事業を止めないために準備をしておく必要があるでしょう。
BCPテンプレートのおすすめ5つ
本題のテンプレートのおすすめ5選を紹介します。
(1)中小企業庁
中小企業庁が作成したテンプレートです。国内の99%を占めるを占める中小企業にBCPを促すことが目的です。
中小企業がBCP策定に投入できる時間と労力ごとに応じて難易度が分かれています。「入門コース」「基本コース」「中級コース」「上級コース」の4パターンです。
アウトプットイメージとして各業種のサンプルが用意されているので、具体的な策定の手順がわかりやすいです。そして指標に沿って作業をすれば、簡単にBCPを策定することができます。
企業が作ろうとしているBCPのレベル感に自由に合せられるスグレモノ!
(2)事業継続推進機構
事業継続初級管理者試験や事業継続推主任管理者試験の実施団体である事業継続推進機構(BCAO)が作成しているテンプレートです。
わかりやすく3部にステップが分かれています。ステップごとに必要性が示されているので、順を追い納得して進めやすくなっています。
またガイドラインとテンプレートが一体に化しているので、ガイドラインを読み進めながらテンプレートを穴埋めして完成することができます。
BCPをひとまとまりで勉強したいならこれ!
(3)東京商工会議所
東京商工会議所が作成したガイドです。
本編と様式に分かれています。本編が解説、様式がテンプレートという形です。
東日本大震災での教訓や具体的な事例、図表などを織り交ぜながら、効果的にBCPが策定できるようにわかりやすく解説されています。ただ、これを読むだけではなくちゃんと自社の文章に落とし込む必要があります。
図が多くて分かりやすい!
(4)日本CSO協会
日本CSO協会が作成したテンプレートです。
先述の東京商工会議所と同様、東日本大震災を教訓として策定されています。
緊急時にすばやく事業を再開し、生命関連産業の一翼を担う役割である医薬情報活動への影響を最小限に留めることを目的として作られています。
項目に入力するだけで最低限のBCPが完成します。
(5)農林水産省
平成23年度「新型感染症発生時等の食料供給能力向上対策委託事業」において実施された研修会のテキストです。
食品産業事業者がBCPを策定する際に参考として利用できるように作成されています。基礎編、応用編と参考資料もあるので読み進めながらテンプレートに取り組めます。
食品事業ならこれを埋めるだけで完成です!
一番のおすすめは?
この中で1番のおすすめのテンプレートは中小企業庁が作成した中小企業BCP策定運用指針です。理由は3つあります。
1つ目は難易度ごとに分かれていることです。難易度が分かれていることで、それぞれの企業に合うBCPが策定しやすくなります。
企業ごとにBCPに投入できる時間と労力が違うので、しっかりと機能する範囲で策定することが必要です。闇雲に策定してしまうのを防ぐためにも中小企業BCP策定運用指針がおすすめです。
2つ目は中小企業に特化されていることです。中小企業関係者や有識者の意見を踏まえて作成されたテンプレートです。その結果、現場の用途にあったBCPを策定することができます。
3つ目はBPC策定作業が中小企業庁のサイトのみで完成できることです。様々なサイトから資料を探したりするのは大変ですよね。中小企業BCP策定運用指針は従業員携帯カード、避難計画シート等の様々なひな形がダウンロードできます。そしてアウトプットイメージとして各業種のサンプルが用意されているので参考にしやすいです。策定するのに必要なものがほとんど揃っています。
もちろん、本当にペラ1枚で簡易に作りたいだけの企業、ガチガチに自前で作り込みたい企業など、沢山ニーズがあるため、今回は5つ紹介しました。
BCPは「どこまで」やるべきか
被害を最小限にするためにはどこまでやるべきなのでしょうか。BCPは作り込もうと思えばどこまでも細かく作り込めます。
一方で、細かく作りすぎても機能しないし、維持管理に負担が大きくなりすぎます。これがBCPのジレンマです。
まとめ
テンプレート・ひながたを利用すればBCPを作成するのが一段と楽になります。何でもかんでも自前でやろうとしてはいけません。まずはテンプレートから入って、少しずつ自分の企業に合ったBCPを作ってみましょう。
BCPは備蓄品の購入と表裏一体です。備蓄品リストもチェックして下さい。
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