南海トラフ地震とは
四国の南の方の海(南海)に、「南海トラフ」と呼ばれる海洋プレート(岩盤)の境界があります。下図の赤字部分が「南海トラフ」です。
この南海トラフが震源域になる地震が「南海トラフ地震」と呼ばれており、パターンも数種類想定されています。「南海トラフ巨大地震」とも呼ばれていますが、ここでは「南海トラフ地震」で統一します。
南海トラフは南北広範囲にわたるため、震源域になった場合もかなり広範囲の被害が想定されています。政府の中央防災会議によると、静岡県から宮崎県まで、広範囲で大地震が発生すると見込まれています。
南海トラフ地震の被害想定は?
政府の中央防災会議は、平成24年(2012年)に「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」を設置し、南海トラフの被害予測を行いました。
マップで見るとにするとこうなります(想定震度マップ)
赤色の都道府県が震度7クラスになるところです。宮崎、徳島、香川、愛媛、高知、大阪、和歌山、奈良、愛知、静岡、三重あたりが大ダメージを受けます。
政府の公式被害想定でも、南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。
また、関東地方から九州地方の太平洋沿岸に10mを超える大津波がくることが想定されています。東日本大震災とおなじように地震・津波がダブルで襲ってくるということです。
最悪ケースだと、死亡者数は32万人以上になることが想定されています。これは建物や死亡者数だけで言うと「首都直下型地震」よりも大きい被害です。
特に死傷する原因になるのは「津波」と「建物倒壊」だと言われています。特に津波は東日本大震災でも猛威をふるったため、記憶に新しい人も多いと思います。
いつ起こるのか、どうなるのか、気になりますよね?
南海トラフ地震はいつ起こるのか?
どの地震もそうですが、現在、大地震を予測する画期的な方法は発明されていません。一方で、ちまたには「予言」というアヤシイ予測もあふれています。
私は、一番情報として信頼できるのは政府の動向だと思っています。
南海トラフに関する「政府の動向」、「過去の発生頻度」、「黒潮」、「予言」等、よく言われている南海トラフ地震の情報を多角的にチェックしていきましょう。
1)南海トラフに関する「政府の動向」
もう一度言いますが、一番信頼できる情報は政府の動向です。
当たり前ですよね?
なぜなら、地震の被害を最も受けてしまう組織が日本政府です。そして、当然ですが一般人よりも日本政府の方が「表」も「裏」も情報を持っています。政府の動向を注視していればある程度の予測はできると私は思います。
ちなみに、政府は2012年に南海トラフ地震の情報を一度まとめた後、しばらく放置していました。
しかし、実は政府は近年2017年ごろから、「急に」中央防災会議(政府の関連組織)に対して南海トラフ地震の予測方法や対応策について、改めて整理するように指示を出しています。
それを受けて中央防災会議は2018年に、南海トラフ地震の「前兆」を捉える方針を発表しました。スロースリップや半割れケースと呼ばれるものがその内容です。
ここでは研究結果の中身ではなく、政府が「動き出している」ということ自体が、一般人にとっては重要です。
要するに、政府も「南海トラフ地震がそろそろ起こるかもしれない」と思っているということです。
2)過去の南海トラフの「頻度」
地震をチェックするにあたり、過去に同じ地域で起こっているか、また、どういう頻度で起こったかという情報である程度の発生予測ができるという考え方があります。
南海トラフ地震は「100~200年に1度」の頻度で発生していることが知られています。ざっくり年表を作ると下記の様になります。
発生した西暦 | 地震名称 | 規模 |
1498年 | 明応地震 | マグニチュード8.2 |
1605年 | 慶長地震 | マグニチュード7.9 |
1707年 | 宝永地震 | マグニチュード8.7 |
1854年 | 安政南海地震 | マグニチュード8.4 |
1946年 | 昭和南海地震 | マグニチュード8.4 |
意外と頻度高く発生していることが分かります。
安直に読んでしまうと「なーんだ、1946年に発生しているなら、次は2050年以降かなぁ」と思ってしまいます。
しかし、地震はそう単純ではないところが怖いのです。周期が単純ではなく、明日発生してもおかしくないのが地震です。
ちなみにマグニチュード(地震の規模)はすべて8クラス「巨大地震」なので、関東大震災以上のダメージが想定されます。
ちなみに、上の表は分かりやすさを優先して、近い年に起きた南海トラフ地震は削除しています。具体的に言うと、南海トラフは1度起きると、近い年に同じクラスの大きさの巨大地震が連発して起こるのが特徴だということです。
もし1回目が発生して、生き延びることができたとしても、気をつけましょう。
3)南海トラフと「黒潮の大蛇行」
過去の南海トラフ地震が発生した時、特に「昭和南海地震」と「安政南海地震」の直前に黒潮が大蛇行したという情報があります。
「黒潮の大蛇行」とは、日本の南側を東に進む黒潮が、紀伊半島(和歌山県)沖から沿岸を離れて大きく迂回する現象のことを指します。
黒潮の海流は、数年~数十年くらいの頻度で「通常」と「大蛇行」を繰り返しています。
ちなみに、2019年現在、黒潮は大蛇行している真っ最中です。
黒潮の大蛇行は「必要条件」というより「十分条件」だと思います。要するに、黒潮が大蛇行したら南海トラフが起こる=×、南海トラフが起こる時に黒潮も大蛇行することが多い=○、ということです。
なので現在、黒潮が大蛇行しているからすぐに起こるというわけではありません。ただ、起こってもおかしくない状況だということですね。
4)南海トラフに関する「予言」
南海トラフ地震の発生時期を予言している予言者たちを紹介します。ただ、あまり信頼できる情報ではないため「こう言ってる人もいるんだ」程度に思っていて下さい。
彼らの言っている南海トラフ地震発生予言をまとめました。
- アメリカFBI捜査官「2018年9月~2019年3月」
- ダウンローラー千尋(自称予言者)「2019年5月」
- とあるブロガー「2019年5月11日」
- 松原照子(自称:予言者)「2018年から20年内」
- マイケル・フィリップス(自称:タイムトラベラー)「2024年8月」
- 未来人YJ(自称)「2024年8月」
結論、2019年も地震発生リスクの高い年になっているということです。
他にも、少数ですが「南海トラフは未来永劫、発生しない」と言い切っている予言者もいます。「2018年に発生する」と言っていた予言者も沢山いましたが、結局、南海トラフは2018年内には発生しませんでした。
“自称”予言者の中には、自分の宗教的・政治的な目標を実現するために、予言という形でニュースを流している悪質な人間も大勢いるため注意しましょう。
南海トラフ地震の対策は?
南海トラフ自信の対策として「平時の対策」と「有事の対策」の2つあります。両方ともかなり重要ですので、必ず対応するようにしましょう。
ここでは「最低限、命を守るための対策」をまとめました。
平時の対策
平時の対策は、防災グッズを買いそろえておくことです。
できれば、まとまった形になっている「防災セット」を購入しましょう。
特におすすめなのが「SHELTER(シェルター)」です。これを人数分買っておけば、だいたいの災害に対応できます。私も持っています。
南海トラフ地震の場合は、津波と建物倒壊が脅威となりますが、一番重要なことは「すぐ逃げられること」です。とにかく防災セットだけもって逃げられる状態にしておきましょう。
ちなみに、最近防災セットは売り切れ続出していて、今注文しても到着に2ヶ月くらい時間がかかります。ちょっとでも「あった方がいいかなぁ」と思っている人は今すぐ買いましょう。震災が起こって被災してからでは遅いですよ。
私が先日買ったときは1ヶ月くらいで届きました。速さの観点からもSHELTER(シェルター)はおすすめです。
また、南海トラフといえば津波リスクが怖いところです。津波対策にライフジャケットもチョイスしてみて下さい。防災セットの比較記事は下記を参考にして下さい。
有事の対策
本当に南海トラフが発生した後に活躍するのが「防災アプリ」です。おすすめ防災アプリもまとめているため読んでみて下さい。
南海トラフにおいては、「津波から逃げること」が最重要になってきます。なので、静岡、愛知、三重、和歌山、大阪、高知、徳島、広島、宮崎あたりに住んでいる人に一度は試してもらいたい防災アプリがあります。
「地図マピオン」です。
このアプリはiPhone専用ですが、標高を示す機能がデフォルトでついています。
ということは、津波が来る前に逃げるべき「高台」の場所を確認することができるのです。南海トラフ地震対策の防災アプリとしては必須級だと言えます。
まとめ
繰り返しますが、南海トラフ地震は「津波」と「建物倒壊」が特徴です。
逆に言うと、分かっていれば対策が立てられるということです。
- 自分が住んでいる周辺は、南海トラフが起こったときにどの程度津波が来る想定なのか
- 自分が働いている職場周辺の建物倒壊はひどいのか
- 地震が収まった後、家族が集まるべき高台はどこにあるのか
この3つをチェックしておけば、最悪の自体は免れると思います。しっかりと準備しておきましょう。
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